本記事は2020年6月に作成されたインタビュー記事です。
人のつながりを大事にする床屋
白を基調とした、清潔感のある店内。床と壁の木目が、暖かさを演出している。店内に日の光が差し込むと、明るさを帯びてどこか特別な異空間のようにすら感じるだろう。
シャンプー台とカット台がひとつずつあり、少しこじんまりとした印象も持たれるかもしれない。この店は、店主の佐藤孝之さんが1人で経営されている。最初から最後まで佐藤さんがみてくれるため、特別なプライベート空間としても成立している。 「人のつながりを大切にしている」 佐藤さんだからこそ、できている店内の空気感。
仕事に疲れた時、リフレッシュしたい時。退店時には、とても晴れやかな気持ちで、心が軽やかになるだろう。
秋田出身の佐藤さんは、奥様が住田町出身で、東京で床屋をしていたそうだ。2004年ごろに住田町に来て、他の畑も見てみたい思いから別の仕事に携わっていた。働くなかで、やはり床屋が1番だと思い、震災の1年前まで陸前高田市内にある床屋で勤めていた。震災後、勤めていた床屋が仮設店舗で再開し、佐藤さんも変わらず継続して勤めていた。その床屋が店を閉めることとなり、独立開業したのが現在の店舗だ。
まずはじめに、以前勤めていた床屋を引き継ぐ形でスタートした佐藤さん。客層も年配の方が増えてきて、バリアフリーを意識して現在の店舗をつくりあげた。一方で、若年層も利用するので、みんなが来られる店作りを心がけた。現在は、仮設のころからの常連客が中心となっているそうだ。
店舗は佐藤さんが一人で経営しているので、基本は予約対応となっている。空いていれば飛び入りでも受け付けている。土日はほぼ予約で満杯になってしまうそうなので、事前予約はした方がいいだろう。
意外なところで、ビジネス年代の利用客も多い。その息子さんであったり、ご家族の方がファミリーで来店してくれるそうだ。技術もさることながら、人と人とのお付き合いを重視されている佐藤さんの人柄がにじみ出ている。
「部分パーマをしたり、部分カットもそうですが、カット料金をそのままとるお店もあるんですけど、うちでは絶対にしません。その人に合わせて全部やるので、頭皮がちょっと荒れてるなと思ったらそういうシャンプーを使って、料金を取らずに使うこともあります」 人と人とのつながりを意識する、佐藤さんならではのサービスだ。
一度利用したら、続けて利用したくなる。まさに地域密着方の床屋だ。