本記事は2020年6月に作成されたインタビュー記事です。
ママのこだわりワインがオススメ
夜、少しだけきらびやかな看板の光が灯るスナックみそら。連日、代行運転の車がくると、お店からでてきたお客さんの賑やかな声が聞こえてくる。カウンターとテーブル席があり、カラオケ完備。時には、まったく違うお客さん同士で盛り上がり、独特な一体感がある。
このお店の特徴のひとつに、こだわりのワインがある。ママの日野さんが、自分で味をみて美味しいと感じたものだったり、旅行先で気に入ったものを出しているそうだ。開けてみて美味しくないこともあるそうなのだが、その場合はお金をとらず、料理用等にしているこだわりぶりだ。
客層は実に様々で、地元の方が多く訪れる。店内には時折、ペットの犬も歩いていたりする。お酒を飲むための場所なのかもしれないが、それ以上にお客さんは店内の雰囲気を楽しみ、何らかの癒しを求めている場所なのではないだろうか。
2017年に、大船渡市と陸前高田市の市境、通岡峠にお店をオープンした日野さん。震災後に仮設店舗や銭湯などで賑わっていたが、日野さんが来たころには一時期の賑わいは下り坂だった。大船渡・陸前高田ですぐに営業を開始できる場所を探して、いきついたという。
「大船渡にも貸店舗はないし、陸前高田も探して不動産屋さんとかにも全部聞いたけど全然なくて。もしかしたら、土地を借りれる所もあるかもしれないけど、当時はまだ先っていう話でした。正直に言うとあの場所は、皆にも反対されたし、人が簡単に来られるような場所ではないから、うまくいかないのではという声もありました。ただ、何もしないよりやったほうがいいって考えのもとにオープンしたんです。あそこで成功したら、中心市街地にきても成功できるだろうと」
思ったよりも経営はうまくいったと語る日野さん。当時は、工事現場の方や銭湯を利用する方が来てくれたりしていたそうだ。
その後、2018年の年末にどうしても間に合わせたいと、現在の店舗のオープンに至った。 前店舗の時からのお客さんは変わらず足を運んでくれる。8割は地元客の層だが、遠方からきている工事現場の方も変わらず足を運んできてくれる。ただ、「今日で最後なんですよ、撤退なんです」という方も増えてきたそうだ。地元の復興状況の移り変わりが、肌で感じられるのかもしれない。
静かに飲みたい方もいるから、カラオケで盛り上がりすぎてしまったりしたときにはカラオケを中止させたりもすると話す日野さん。店内の雰囲気づくりにはいつも注力しているそうだ。地元の人に愛されるパワフルなママ、という印象がとても強い。お店から出てくる方からは、いつも賑やかで楽しげな声が聞こえてくる。楽しいお酒をいただける場所だ。